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自分を気遣わしげに見上げた薄茶色の瞳に、修太郎は「平気ですよ」と返す。
それよりも、「もう僕のそばを離れないで頂きたいんですけど」と強く願いながらふとカゴの中を見て、「お菓子でも作られるおつもりですか?」と尋ねた修太郎だ。
そんな修太郎に、「はいっ。チョコカスタード入りの鈴カステラを焼くつもりなのですっ」と日織がルンルンで答えて。
てっきり夕飯想定でたこ焼き器を持って来たんだと思っていた修太郎は、そんな日織の言葉にキョトンとしてしまう。
「えっと……どちらがメインですか?」
思わず問うたら「どちらもですっ」と逆に呆気に取られた顔をされてしまった。
「塩辛いのを食べたら甘いのも欲しくなりませんか? もちろん逆も然りなのですっ♪」
カゴを持つ腕をそっと握られて言い切られてしまった。
日織に滅法弱い修太郎は、彼女に下から愛らしく顔を覗き込まれてそんな風に言われてしまっては、「そうですね」と答えるしかなかった。
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