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修太郎の言葉に、日織が「楽しみなのですっ」とソワソワし始める。
「とりあえず出来たてのたこ焼き、温かいうちにどうぞ」
焼き上がったたこ焼きを小皿に移して、お好みソースとマヨネーズ、青のりとかつお節をふりかけて手渡すと、日織がキラキラと瞳を輝かせる。
「熱々なのですっ」
ハフハフ言いながら箸で半分に切ったたこ焼きを頬張る日織を横目に、修太郎は「焼いてよかった」とつくづく思う。
「立ったまま食べるとか、物凄く悪いことをしている気分なのですっ」
なんて感想が出るところも育ちのいい日織らしくて愛くるしい。
「ね、修太郎さん。共犯者になりましょう?」
ややしてそう付け加えると、いま自分が半分に切って食べたたこ焼きの片割れを箸でつまみ上げた日織が、「はい、修太郎さん、アーン♡」と、修太郎の口元にそれを持ってくる。
キスだってその先だって経験している二人なのに、何故かこういう些細なこと(?)の方がハードルが高く感じてしまう修太郎だ。
「ふふふっ。修太郎さん、照れていらっしゃいますか?」
しかもそれを日織が鋭く指摘してくるから堪らない。
「す、少し」
視線を逸らしながら言ったら、「修太郎さん、本当に可愛いのですっ」と日織がとってもとってもご満悦の様子で。
それが、何だかすごく悔しい修太郎だった。
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