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「じゃあ、今度は私が焼きますね♪」
あらかじめチョコレート入りのカスタードクリームを作りあげていた日織が、それを冷蔵庫から取り出しながらソワソワする。
プレートは、所々にたこ焼きの生地などがこびり付いて焼け焦げていたので、一旦洗って仕切り直しをしたばかりだ。
日織が作ろうとしているのは、ココアも生地に使うレシピだとかで、修太郎の家にあるストックを使うつもりらしい。
「私がいつも飲んでたのがありましたよね」
牛乳たっぷりの、甘さ控えめなホットココアを作るのが好きな日織のために、塚田家には甘さの調節ができる純ココアが常備してある。
それを棚から取り出しながら日織がニコッと微笑んだ。
その様を見て、修太郎は思わず目を細めずにはいられない。
日織が、この家の戸棚から何の迷いもなく材料を取り出す様を見ていると、彼女がここに馴染んできていると思えて嬉しくなったからだ。
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