「アーン」の応酬

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*** 「じゃあ、今度は私が焼きますね♪」  あらかじめチョコレート入りのカスタードクリームを作りあげていた日織(ひおり)が、それを冷蔵庫から取り出しながらソワソワする。  プレートは、所々にたこ焼きの生地などがこびり付いて焼け焦げていたので、一旦洗って仕切り直しをしたばかりだ。  日織が作ろうとしているのは、ココアも生地に使うレシピだとかで、修太郎(しゅうたろう)の家にあるストックを使うつもりらしい。 「私がいつも飲んでたのがありましたよね」  牛乳たっぷりの、甘さ控えめなホットココアを作るのが好きな日織のために、塚田家(つかだけ)には甘さの調節ができる純ココアが常備してある。  それを棚から取り出しながら日織がニコッと微笑んだ。  その様を見て、修太郎は思わず目を細めずにはいられない。  日織が、この家の戸棚から何の迷いもなく材料を取り出す様を見ていると、彼女がここに馴染んできていると思えて嬉しくなったからだ。
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