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卵と牛乳とホットケーキミックスとココアを混ぜて作った生地に、あらかじめ作っておいたチョコ入りカスタードを挟み込んで焼くらしい。
ボールで材料をレシピ通り、丁寧に混ぜ合わせて生地を作った日織が、
「では、参りますっ!」
言って、「いざ、尋常に勝負!」とでも言わんばかりの真剣な表情で、半月状の型の中にトロトロと生地を流し込んでいく。
たこ焼き器に流し込んだ生地が焼けてぷっくり膨らんできたら、チョコ入りカスタードクリームを乗せて。
そのクリームの上に新たな生地を乗せて中身を包み隠すようにしてから、上下をひっくり返して焼いていく、という技法らしい。
修太郎が作ったたこ焼きとは生地の丸め方の作法が違うところが面白いな?と思いながら、真剣な顔をしてチョコ入りミニカステラを焼く日織を見つめる修太郎だ。
「や、焼き上がったのですっ」
ほぅっと吐息を落とした日織の額に、うっすらと汗が滲んでいるのに気づいた修太郎は、
「日織さん」
つぶやくように彼女の名を呼ばわると、額にかかった髪の毛をそっと掻き上げて汗ばんだおでこにチュッと口づけを落とす。
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