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「ひゃっ、しゅぅ、たろぉ、さっ?」
いきなりそんなことをされて驚いた日織が、目を白黒させるのが堪らなく可愛いと思った修太郎だ。
「塩辛い汗を口にしたので、甘いのが食べたいです」
言って、ニコッと笑ったら、途端日織が真っ赤な顔をして視線を泳がせた。
「あっ、熱いので火傷しないように気を付けてください」
それでも自分が焼いたお菓子を食べてもらいたかったのだろう。
焼きたてほやほやのチョコカスタード入り鈴カステラを小皿に取って、修太郎に手渡してくれた。
修太郎はそれを器用に半分に割って。
パクッと食べてから「甘さ控えめで美味しいです」と言って、残りの半分を「はい、日織さんもアーン」と差し出した。
「あ、あのっ、わ、私っ、自分でっ」
日織がドギマギするのを嬉しそうに見つめながら、「僕も先ほど日織さんにしていただきましたよ?」と、修太郎は譲れない旨を言外に含ませた。
そんな修太郎の強固な態度に観念したらしい日織が、真っ赤な顔をして小さく口を開けると、「もう少し大きな口を開けて頂けますか? でないと中のクリームが口のまわりについてしまいます」と修太郎があごに手をかけて催促する。
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