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「甘いの、チョコにしてくださったのは、やはり今日がバレンタインだったからですか?」
日織を横抱きに抱え上げて問えば、腕の中で彼女がコクンと頷いて――。
「は、ハッピーバレンタイン……なのです」
このままベッドに運ばれてしまったら、きっと冷え切ったチョコカステラを食べる頃にはバレンタインデーは終わってしまっているだろう。
(出来れば熱々のままを美味しく食べて頂きたかったのです)
それを残念に思った日織だったけれど、寝室に向かって歩き出した修太郎が、日織の言葉を聞くなりピタリと足を止めたことにキョトンとする。
「やっぱり作っていただいたの、温かいうちに食べてしまいましょう」
言ってクルリと向きを変えると、腕の中の日織をそっと床に下ろしてから、ホットプレートの上に乗ったままになっていたチョコカステラを一つずつつまんで器に移して。
それを日織に手渡すと、「落とさないように持っていてくださいね」とお願いして、再度日織を抱き上げた。
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