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「なぁ、日織。ホントに二次会来ねぇの? 俺、お前が来てくんねぇとマジ詰まんねぇんだけど。――ほら、さっきの話ももうちょっと煮詰めてぇしよ。……来いよ」
みんなと一緒に二次会会場に向かったはずの羽住が、何故か窓辺で外の方を向いて立つ日織の肩をポンと叩いてそう声を掛けてきて。
「ひゃわっ」
全神経を修太郎との電話に傾けていた日織は、突然のボディータッチと呼び掛けに必要以上に身体を跳ねさせてしまった。
ビクッとなった反動で、手にしていたスマートフォンとコートが、柔らかなウィルトン織りのカーペット敷きの床に落ちてしまう。
「あー、悪い。電話中だったか」
言いながら、立ち尽くしたままの日織の代わりに、羽住が落としたスマートフォンとコートを拾って「旦那?」と聞きながら手渡してくれて。
それに頷きながら受け取った携帯の電話口からは、『日織さんっ!?』とどこか慌てた様子の修太郎の声が聞こえていた。
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