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「あ、あのっ、修太郎さんっ。そのっ、羽住くんにはきっとそんなに悪気はなかったのですっ。だから――」
羽住と修太郎との間の不穏な空気に心配そうに眉根を寄せながら。
日織が彼女と羽住との間に立ちはだかる修太郎の腕にそっと触れて。
日織が、修太郎の手をちょんちょん、と引っぱったことで、修太郎の視線が一瞬だけ日織に流れた。
そのことで、えも言われぬ呪縛から束の間開放されたと羽住は胸を撫で下ろす。
背中を嫌な汗が伝っているのを感じながら、今この時を逃したら、自分は眼前の男に何も言い返せない情けない男になってしまうと思った。
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