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「――えっと……すみません。ひお……貴方の奥さんが……その、ご主人に遠慮しているとばかり思っていたものですから……」
実際は違ったみたいだが、と思いながら這う這うの体で言ったら、日織がすぐさま反論してきた。
「修太郎さんはとてもとてもお優しいのです! 私を縛りつけたりはなさいません! 2次会には参加いたしませんと申し上げたのも、今日はもう帰りますと判断いたしましたのも、全部私自身の意志なのですっ!」
(ああ、分かってるって)
一生懸命旦那を庇う日織を脱力感とともに見て、羽住は自分の道化ぶりにほとほと嫌気がさした。
きっと日織は、自分が2次会に出たいと言えば、眼前の旦那は許してくれたはずだと信じて疑っていないのだろう。
(ま、ぶっちゃけ実際はどうだか怪しいもんだけどな――)
これ以上この嫉妬深そうな男が、愛する妻を自分みたいな男たちが何人いるとも分からないような目の届かない場所に置いておけるとは、羽住には到底思えない。
そもそも今日の同窓会への参加をOKしたこと自体、奇跡なんじゃないかとすら思った。
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