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「あのっ。修太郎さん？ 出口は１階では……？」
日織たちがいま居たのは、２階にあった宴会用の大ホール前の廊下だ。
１階にはロビーや喫茶店などが並んでいて、当然エントランスもそこにあったはずで。
ワンフロア分を降りるならばエレベーターより断然エスカレーターや階段の方が便利なのに。
修太郎がそこを通り過ぎてエレベーターホールの方へ足を向けたことに、日織は一抹の不安を覚える。
それとも、日織が知らないだけで上階にも出入り口が存在しているのだろうか？
例えば、ちょっと小高いところと繋がっているような……。
ふとそんなことを考えて、ここは街のど真ん中でしたっ！と日織はその妄想を打ち消した。
では駅に繋がる連絡通路などと連結しているのかしらとも思ったけれど、近くには電車の駅はもちろん、バス停なんかもなかったはずで。
考えれば考えるほど日織はただただ混乱するばかり。
「あの……修太郎さん？」
それで自分の手をグイグイと引っ張って前進する修太郎の背中に一生懸命呼びかけてみるけれど、さっき羽住と別れてからこっち、修太郎は日織の呼びかけに一切応えてくれないのだ。
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