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「日織さんにはそこで、僕からの質問に、ひとつずつ・丁寧に・じっくりと、答えて頂きます」
強調すべきところをわざとゆっくり言う修太郎に、
「……でも修太郎さんっ。私、今日はお父様に……」
――お泊まりの許可を頂いていないのですっ。
日織がそう続けようとしたら、
「キミは僕の妻だ。夫が妻と一夜を共にするのに、どうして第三者の許可がいるのですか?」
いつもはちゃんと義父を立てるはずの修太郎の言葉とは思えない冷ややかな宣言に、日織は思わず怖くなって息を詰める。
「でもっ、家に連絡をしなければ……両親に心配をおかけしてしまいますっ」
こちらを見ようとしてくれない修太郎に、日織は泣きそうになりながら訴えた。
「ご両親への配慮はお出来になるのに、夫への気遣いは出来ないとか……。日織さんは本当に残酷な方だ」
修太郎の言葉に、日織は心臓をギュッと鷲掴みにされたみたいな痛みを感じた。
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