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「あ、あのっ」
オロオロと修太郎を見上げたら、所在なく手にしたままだったバッグとコートを無言で取り上げられて、入ってすぐのところの作り付けのバゲージラックスペースと、ワードローブに各々仕舞われてしまう。
バゲージラックスペースには既にひとつ黒い大きめの鞄が置かれていて、日織はそれを不思議に思う。
修太郎は今日自分をここに送ってきてくれた際、こんな鞄は持っていなかったはずだ。
そのことを修太郎に問いたいけれど、聞けるような雰囲気ではなくて。
部屋は、入り口すぐのところに荷物を置くスペースが集約されていて、その向かい側がレストルームとバスルームのようだった。
そのまま修太郎に手を引かれて奥に入ると、キングサイズのベッドがひとつと、ソファーとローテーブル、そして大型テレビが目につく。
広い部屋なのにベッドがひとつきりしかないのに気が付いて、日織はソワソワと心がざわついて。
修太郎の家に泊まりに行ったときも、修太郎の部屋のダブルベッドで一緒に寝起きしていることを思えば、別に今更という気もするのだけれど、今日は……。そう、何だか今日だけは。
すっごくすっごく落ち着かないのです!と思ってしまった。
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