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「日織」
そんな日織を焦れたみたいに呼び捨てて少し強めの口調で呼ぶと、修太郎は有無を言わせぬ雰囲気を醸し出す。
狼を前にした非力な仔うさぎのようにビクッとして縮こまった日織が、おずおずと自分の手を取ったのを見計らって、修太郎は強引に日織を我が身に引き寄せた。
そうしてそのままソファーに座る己の脚の上、日織の小さな身体を横抱きに載せる。
「っ! しゅーたろぉさっ!?」
日織が半ば悲鳴まじりに修太郎の名を呼んで見上げてくるのへ、「どうして貴女はこんな時にまでそんなに可愛いんですかっ」と、眉根を寄せて理不尽なセリフを吐き捨てる。
「や、……んんっ!」
激情のまま、不意に後頭部に添えた手で、日織のハーフアップにされた髪を鷲掴むように掻き乱すと、バレッタの留め具のつまみを押さえてしまったらしく、カチンと微かな音を立てて髪留めが外れた。
支えを失ったパールとビジューで飾られた上品なバレッタが、カーペット敷の床に落ちる。
それを合図に、修太郎は堪えきれないように日織へ性急な口付けを落とした。
日織に息継ぎをさせる間でさえも惜しむみたいに彼女の口中を乱暴にかき回すと、逃げ惑う小さな舌を執拗に追い回し、追い詰め、絡め取り、痛いぐらいに吸い上げて嬲る。
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