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そこにチュッとリップ音を立てて吸い付くと、
「――僕の方がきっと……日織さんの身体のことは、キミ以上に知っていると思います」
わざとそこだけ声を低めて。
首筋のほくろから、唇をゆっくり這い登らせて、耳朶を食むようにして続ければ、日織の全身が一瞬にして薄桃色に染まったのが分かった。
「いっ、……意地悪なのですっ」
身体を丸められない代わりにミラー越し、日織が涙目で修太郎を睨みつけてきて。
その視線に、修太郎は小さく吐息を落とす。
「……本当に意地悪なのは、僕をこんな風にしてしまう日織さんの方でしょう?」
言いながら、再度日織の手を目の前の鏡にひとまとめにして縫い留めると、ブラのホックを片手で外す。
日織とこういう行為に及べるようになるまで、修太郎は女性の身体に触れたことがなかった。
それを思うと、片手で難なく女性用下着の留め具が外せるようになる程、自分が女性の扱いに熟れてくるなんて思いもしなかった修太郎だ。
それだけ目の前のこの美しい肢体を、己の思うさまに貪ってきたということなんだと、頭の片隅でふと思う。
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