5.尋問の夜*

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 そこにチュッとリップ音を立てて吸い付くと、 「――僕の方がきっと……日織(ひおり)さんの身体のことは、キミ以上に知っていると思います」  わざとそこだけ声を低めて。  首筋のほくろから、唇をゆっくり這い登らせて、耳朶を()むようにして続ければ、日織の全身が一瞬にして薄桃色に染まったのが分かった。 「いっ、……意地悪なのですっ」  身体を丸められない代わりにミラー越し、日織が涙目で修太郎(しゅうたろう)を睨みつけてきて。  その視線に、修太郎は小さく吐息を落とす。 「……本当に意地悪なのは、僕をこんな風にしてしまう日織(ひおり)さんの方でしょう?」  言いながら、再度日織の手を目の前の鏡にひとまとめにして縫い留めると、ブラのホックを片手で外す。  日織とこういう行為に及べるようになるまで、修太郎は女性の身体に触れたことがなかった。  それを思うと、片手で難なく女性用下着の留め具が外せるようになる程、自分が女性の扱いに(こな)れてくるなんて思いもしなかった修太郎だ。  それだけ目の前のこの美しい肢体(からだ)を、己の思うさまに(むさぼ)ってきたということなんだと、頭の片隅でふと思う。
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