7.どちらに転んでも損はない*

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***  そうと分かれば、サニタリールーム(こんなところ)に長居は無用だ。  日織(ひおり)からの反撃がなければ、修太郎(しゅうたろう)は洗面台前で彼女を責めて攻めてせめ抜いてから、嫌というほど乱れさせてやるつもりだった。  鏡に映る自身の(あで)な姿を無理矢理日織に見させてから、彼女をそうしたのは、他ならぬ修太郎(しゅうたろう)なのだと記憶に刻み込んで――。  そうして疲れ果てるまで抱き潰した日織を、浴室で隅々まで洗い清めてやろう、その後はまたベッドで、とか考えていたりしたのだ。  当初の予定とは随分違ってしまったけれど、嫉妬まみれのモヤモヤした気持ちのまま日織を責め立てるように抱かなくて良かったと、少し冷静になった頭の修太郎は、心底ホッとしていたりする。  せっかくホテルの一室を取ったのだ。  今は、常とは違った雰囲気の中、愛する妻をデロッデロに甘やかして(とろけ)させたいと思っている。 (やはり日織さんには敵いませんね)  色んな意味で、修太郎にとって日織ほど最強で、守ってあげたくなるほど愛しくて、さまざまな面において水の合う女性はいないのだと、先程からのアレコレで改めて気付かされた。
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