7.どちらに転んでも損はない*

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「ひゃっ。――あ、あのっ、修太郎さん?」  ぐっしょりと濡れそぼったショーツを一枚身に付けただけの日織の膝裏(ひざうら)に手を差し入れて小さな身体を横抱きに抱え上げると、修太郎はキングサイズのベッドを目指した。  後のことを考えると広いベッドの上、どちらか一方に寄っていた方が色々と得策だと考えて、入り口に近い側に日織の身体をそっと横たえる。  途端、 「ひゃっ」  と日織から悲鳴が上がって、 「修太郎さっ、……冷たいのですっ」   そう抗議された。  ほぼ裸の状態で、何の熱もこもっていない布団の上に突如降ろされた身体をキュッとすくませて、日織が修太郎を非難がましく見上げてくる。  いくら室温が高くても、冷たいものは冷たいんだろう。 「すみません、日織さん。僕の配慮がいささか欠けていましたね」  言いながら、修太郎はベッドの上に横たえた日織の髪を、まるで彼女の頭を撫でるみたいに手櫛(てぐし)で優しく()かしてやる。 「――すぐに温かくして差し上げますね」  そうしてにっこり微笑んで見せると、日織がポッと頬を赤く染めて、うっとりと修太郎の手に頬を擦り寄せてきた。
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