8.私、行きたいのですっ!*

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 ここで日織(ひおり)の言葉を無視してそのまま責め立てれば、きっと彼女の情欲に再び火をつけることは容易い。  そうしてその流れに任せて日織を抱けば、ふたり、必然的に身体がすぐに温まることも分かっていた。  けれど、日織がそれを望んでいないのだからここは自重すべきだ。  ベッドで散々日織を泣かせた修太郎(しゅうたろう)は、気持ちにゆとりがある。 「……そうでしたね」  名残(なごり)惜しさを感じながらも、日織から身体を離すと、日織がストンとその場にしゃがみ込んだのが見えた。  身体をギュッと縮こまらせて修太郎の視線から自分の身体を隠すように頑張っているんだろう。  そんな可愛らしい反応を好もしく思いながら、脱衣所に置かれていたアメニティーグッズの中からお目当てのバブルバスの小袋を手に戻ると、修太郎は中身を浴槽の中に流し込む。  と、それに伴ってジャグジーが起こす気泡が、みるみるうちに白いモコモコの濃密泡に変わっていくのが見えて。 「――日織さん、泡で何も見えなくなりましたし、安心して浸かりませんか?」  聞いたら、日織がうつむいたまま小さく何度もコクコクと(うなず)いた。
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