第1話  ポテチは私の好物

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 一瞬彼女は分かりきったような事を聞くなと、言わんばかりに目で訴える。 「二個だ」  彼女ははっきりと答え切った。 「は?  二個? 」  何故二個と言ったのか彼には分からなかった。  現場は見るからにその状況を否定していた。 「だったらお前、……足元に落ちてる袋数えてみろ」  彼女は下を見て数えだす。 「いち、にぃ……、  さん。」  さん、だけ声を落とす。 「さん?? 」 「ちょ、ちょっと間違えただけじゃないか。  一袋ぐらい。  誰だって数え間違えることがあるだろう。  お前、細かすぎるにもほどがあるぞぉ」  目が棒になっていた。  完全に彼女が押されている。  袋を数えると、二個ではなく三個も落ちていた事実からは逃げられない。  だから彼女は、自分の過ちを流そうとしている。  自分の過ちに、非が立ったのに少し赤面しながら。  そして彼女のお尻の下からは、ポテチの袋の先が少し顔を出していた。
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