今日、告白します。

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「…念のため聞くが」―図らずも彼から言葉を返され、律花は「はい」と反射的に背筋を伸ばす。 「…………それは、上司への感謝の言葉か?それとも……」  思わずきつく瞳を閉じる。―落ち着け自分。結果がどうであれ、精一杯この想いを伝えることができたなら、それで十分じゃないか。  律花はゆっくりと瞳を開けて、もう一度彼を見上げた。 「…高藤主任が―あなたが、好きという意味です……」  暫しの間、沈黙が流れる。未だ高鳴り続ける心臓の鼓動が、やけに煩く鼓膜に響く。律花は黙って彼を窺う。  しかし、こちらを見つめたままの、その切れ長の瞳から今の感情を読み取ることはできなかった。  やがて彼はゆっくりと口を開いた。 「相川―」 「……はい」 律花は静かにその時を覚悟する。 「…だったら、悪いがさっきの『ありがとう』は取り消させてもらう」 あぁ、やっぱり―。 ―さようなら…主任  七瀬には悪いが、明日移動願いを出そう。―そう決意を新たに構築し、再び固く瞳を閉じた、その時だった。 「…随分と準備がいいんだな」―そんな声が降ってくるや否や、唇にしっとりと何か柔らかいものが触れた。 「!?」  律花は驚きのあまり思わず瞬時に両目を見開く。そこにはと同じ、慈しむような眼差しがあった。 「俺も、相川―お前が好きだ」  これはなにかの幻ではないだろうか。 ―だって、ほら…  笑わないことで有名な“鬼の高藤”が、こんなにも無邪気に微笑んでいるのだから―。 ~end~ ※実際の警視庁の屋上には、ベンチはありません。
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