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「おはよう、りっか!」
高藤への挨拶後、こちらへと歩みながらそう朗らかに声をかけたのは、同僚の桐谷七瀬。警察学校時代からの同期でもある。
「おはよう、七瀬」
デスクから引き離したキャスター付の椅子にスプリングコートを掛けながら、律花も僅かに頬を緩める。
すると、彼女は隣のデスクに着くや否や、直ぐ様こちらへと顔を寄せた。―気のせいだろうか。いつになく瞳が輝いている。
「ねぇりっか、いよいよ今日だね…!」
「……何が?」
思わず椅子から滑り落ちそうになったが、なんとか平常心を保ち、冷静に返す。
「も~とぼけないでよ」
彼女は、デスクで捜査報告書をコンピューターに打ち込んでいる彼をちらりと見やり、
「高藤主任への、愛の告白」
今度こそ本当に滑り落ちそうになり、慌てて椅子の縁を掴む。
「……ちょっと七瀬」
じろりと睨み付けるが、「ごめんごめん」と軽く苦笑されてしまった。
それもそのはず。自分でも頬が赤くなっていることが嫌というほど分かる。
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