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6. マウント・ブラック空港
ぼくは落ち着いて周りを見渡した。
ここがマウント・ブラック空港……。
さっき入って来た自動ドアを振り返って見る。ドアから入ってすぐ右横に受付カウンターがある。
滑走路がいきなりあり、ドームの天井の開いた大きな窓に向かって、途中まで梯子が斜めにかかっている。さっきのペガサスは天窓から外に飛び立って行った。
ドームの中の待合室には、椅子やベッドが置いてある。客らしき獣人はおらず、ここで働く獣人が何人かいるだけで閑散としている。
「やっぱり最終便だったのかな」
ぼくはため息まじりに呟いた。
「どうしました?なにかお困りですか?」
突然話しかけられたので顔を上げると、顔の大きなおじいさんが立っていた。タキシードを着た"人間"のおじいさん!
顔がでかい!
「ワタクシは、このマウント・ブラック空港のコンシェルジュをしております、スミレと申します」
スミレと名乗られ、薄紫の可憐な花とは縁遠いこの紳士をマジマジと見た。名は体を表すとは限らないんだな。そんな事を思いつつ聞いてみた。
「さっきのペガサスが最終便だったのですか?」
「仰るとおり。先ほど飛び立ちましたペガサスのショウが当方の一番人気の飛行船であり、本日の最終便でございます」
“ペガサスのショウ”!
ペガサスってだけでカッコいいのに、名前までカッコいい!
あっという間に飛び立ったさっきのペガサスは美青年の風貌だった。一番人気なのがわかる。
やっぱり、名は体を表すのか……。
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