1. 惑星ビーストピア

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学校の夏休みは、1ヶ月ある。 宿題は自由研究のみ。ぼくは何を研究するか、すでに決めている。 ずばり『ぼくについて』だ。 なぜ、ぼくは獣人に成れていないのか? 悲観していても前には進めない。わからないことは調べればいいのだ。 獣人は、その親と同じ個体が生まれるとは限らない。何億通りもの遺伝子の掛け合わせが考えられ、成長過程も個体差がある。 ぼくは、スフィンクスの母と半漁人の父から生まれた猫人。(になるはずの今は人間) 親の遺伝子の影響ってどのくらいなんだろう? まずは図書館で、過去にぼくのような例がないかを調べてみよう。 ぼくは朝食の後、早速図書館へ向かった。 「遺伝子について……」 検索をかけて棚を探す。 遺伝、環境、特異体質と合わせて、過去に同じような事例があれば、ぼくの成長が遅い理由もわかる。それがわかれば母のストレスもましになるのではないか? それに、何よりぼくが知りたい。自分のことを。 父が居なくても、母が豹変しても、ぼくは負けない。  でも、獣人には成りたい! 生徒会のやつらにだって負けたくはない。理不尽な言いがかりや仕打ちに辟易している。 ぼくがあいつらに呼び出されたり、体育で集中的にやられたり、その他諸々嫌がらせを受けているのを知っていても、先生は見て見ぬふりを決め込んでいる。 なぜなら、教師はみな虎人の一族だからだ。 学校長がアルファの父親だと言うのもあって、アルファたちの行動がとがめられることは一切ない。 だいたい虎人一族のどこがそんなに秀でているというのだろう。 そう決まっているから? 昔からの常識だから?
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