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情報とは、調べれば調べるほど出てくるものだと感心する。
そして、知ろうとしなければ、知らないまま暮らせるものなのだとも思う。
自分の生態なのに詳しく知らなかったのもまた不思議だ。
学校で習うのは、惑星ビーストピアの成り立ちとか、歴史のみ。小さい頃からみんな個体が違うという認識は当たり前にあるが、同族とか、結婚の決まりがあるなんて考えたこともなかった。
虎人は昔から教育者の一族だ。家系図まで載ってる……。
恐ろしく下品な知能のアルファであっても、虎人というだけで教育者となり誰かを指導することになるのだから、慣習とは下劣極まりない。
「あれ?」
“成長急促進の薬玉による遺伝子実験”の章が、ごっそり破られている。
なんでだ?
目次にはあるのに、本編が1ページもない。
噂によると、ある成分の薬玉を飲むことによって成長を早めたり、凶暴性を抑えたりできるらしい。薬玉は病気やケガに効くような一般的なものは家にもごろごろあるけど、特殊な薬玉は値段もすごく高いらしく、身近で見る機会はあまりない。
最近向かいの家のハスキーのケン兄ちゃんが凶暴になり、誰それ構わず噛み付くようになって、抑制の薬玉を飲んで抑えているとおばちゃんが言っていた。うちの子に近づかないようにって。思春期によくある症状なのだとか。
その薬玉も特殊で粒も大きくて少し高価だと言っていた。手に入れるには、手続きとか登録とかして、薬玉の治験者としてデータで管理されることも承諾しないといけないらしい。
つまり、特殊な薬玉については、それなりの実験データが沢山あるはずなんだ。
なのにごっそりなくなっているなんて……。
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