1. 惑星ビーストピア

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ぼくは、貸し出しカウンターにいる山羊人のお姉さんに聞いてみることにした。 「すみません」 ぼくが声をかけるとお姉さんは顔を赤らめた。美少年だからよくあることだ。 「この章が破れていて無いんですが」 「あ?あ……。それですか。そちらは前の担当者のクロエさんが、書物整理のときにお腹がすいて食べてしまったのです」 「え?」 そんなことあるだろうか? 詳しく聞こうとした途端、閉館を知らせる音楽が流れ出した。 「申し訳ありません。閉館の時間です」 そういって片付けに集中していますので話しかけないでアピールをされた。 このタイミングで?すごく怪しい。 時計を見るとカチッ。たった今、閉館の5時になった。2分は早かったと思う。 仕方なく、明日また別の文献も調べることにして帰ることにした。 夕焼けの中、家に続く石畳の一本道を歩きながら、今日調べたことを思い返す。 猫科における劣性の特異体質は見つからなかった。過去に合体の遅かった例もなかった。 親の遺伝子が悪いほうに作用する例もなかった。 ぼくだけが特異体質なのだろうか……。 同族結婚で無い限りは、みんな一代限りの個体であり遺伝子が同じ個体は存在しない。 だから、それぞれが特異体質だと言っても過言ではなく、もっと例外のデータがあっていいはずなのにおかしい……。 「くわっ」 図書館に居る間中、ずっと昼寝をしていたブルーが起きた。 ぎゅるるるる~。 お腹が鳴った。ブルーの。 そういえば朝ごはんを食べたっきりだった。 思い出すとぼくも、ものすごくお腹が減ってきた。 「走るね」 ぼくは足が速い。人間にしては、だが。 ぼくは、出来るだけ急いで走って帰った。  
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