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家に着くと、日が暮れているのに電気がついていなかった。
「おかしいな。母さん、まだ仕事かな?」
ぼくとブルーは、とりあえず朝と同じコーンフレークを食べた。
7時半。母はまだ帰ってこない。
8時に豹変してしまうのに大丈夫だろうか?
時計を気にしていると、ふとその下にある引き出しに目がいった。
今朝、母が白い封筒を入れたあの引き出しである。
「宛名だけ……」
人の手紙を勝手に読むのは親子であってもルール違反である。
しかし、気になるので宛名だけ見ることにする。母は美人受付嬢で人気があるから心配だ。
「トリデ様……。ジョーより……ジョー?ジョー!」
ジョーは、父さんの名前だ!父さんの手紙なんて初めてだ!
バクバク!心臓の音が邪魔だ。
この手紙、どこから出しているのだろう?汚い字で読みにくい。父さんは字が下手なのか……。
「み、南、なんぶ、南部!南部、灯台シタ入ル角3右……」
ここに父さんはいるのだろうか?
中を見たい。ものすごく見たい!
親子だし、いいんじゃね?
とブルーが言っているような目をしている、気がする。
知りたいという欲求には、勝てない。
そっと開けて手紙を取り出した。手が震える。中もお世辞にも綺麗とは言い難い字だが、慣れれば読めるものだ。
『ハロハロ!トリデちゃん!元気かな?あー、トリデちゃんって書いただけで早く会いたくなっちゃってるよ~』
父さんて……、こういう感じなんだ…………。
ちょっと……ズコって、なった。
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