1. 惑星ビーストピア

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『西部の果ての島まで行ってきたよ。伝説の西新宿島。やっかいな連中もいてさ~。大変だったよ~。処理に半年もかかっちゃった~。でね。でね。 ごめん!ごめんなさい!今年の四年祭りには帰って、みんなで花火大会に行こうって約束してたのに、帰れそうにない。西新宿島の処理は3ヶ月の予定だったから、半年もかかった始末書とその間の業務のしわ寄せで、長期で帰れるのは、秋ごろになりそうです。トリデさん、本当にごめんね。政府との……』 バタンッ! 玄関の扉の音がした。 夢中で読んでいたぼくは、大きな音に心臓が飛び跳ねるほど驚いた。 ドスドス歩いてくる足音。 母さんの意識があるときは、バサバサっと軽やかに飛んでくるはずだ。 ドスドスドスドス! 受け入れ難い現実の音。 「ひょう~!ひょう~!」 地鳴りのような声に呼ばれている。 手紙を早く引き出しに戻さないといけない。 ぼくは焦る。手紙を畳む手が震える。 「ひょ~うちゃ~ん!ひょ~うちゃ~ん!」 「えっ?は、はい!」 いつもと違うパターンで呼ばれ、うっかり返事をしてしまった! 手紙に気を取られていたのもあって、かなり気持ちが動転していた。そこに突然の母の帰宅。いつもなら寝たふりをしていれば、返事をしないで無事に済むのに……。 そこからは、まるでスローモーション。 後ろを振り向いて見えたのは、ニタッと笑ったおっぱい。 時刻は8時半。 やはり、母はすでに豹変していた。 背筋がぞくっとしたのも束の間。 母のお腹の毛の中からブラックホールが現れた! ブラックホールの口が開き、ゴーっと言う音とともに風が起こり、手にしていた手紙は舞い上がった! 瞬間、ぼくはもの凄い吸引力で吸い込まれた!ブルーと一緒に……。
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