2. いきなり旅が始まった

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2. いきなり旅が始まった

 竜巻の中心に入っていたような感覚……。 本当に竜巻に入ったことはないけど……。 どのくらい時間がたったのだろう。途中気絶していたような気がする。 ゴーっという音の中にいたから耳が痛い。風圧の変な周波数の音のせいだと思う。 腕も痛い。吹き飛ばされて何かにぶつかったようだ。こんなことになるとわかっていたらTシャツと短パンじゃなく、防護服を着ておいたのに……。 目を開けるのが怖い。ブルーが目を舐めてくる。良かったブルーは無事なんだ。 勇気を出して目を開ける。 「痛っ!」 沢山の枝。大きな木に引っかかっている。 薄暗い森の中のようだ。 静かだ。静寂というより、不気味な無音。 危険は特に感じないが、そもそも生物の気配がない。 体がだるい。 ひどく疲れている。そして眠い。 このままちょっと寝ようかな……。 ここのところの寝不足続きと、とどめの今日で疲れきっていたぼく。 こういう時は、よく寝るに限る。 葉っぱのハンモックが心地よい。 すぐに熟睡……。      ガサッガサッガサッ。 遠くから聞こえてくる、地面を這いずりまわるような音。 かなりの時間、熟睡できた気がする。 ブルーが、尻尾をパシパシほっぺに当ててくる。起きろと言っている。 無理やり目を覚ますと、そこは枝の中。 そうだった。母のお腹に吸い込まれて飛ばされてきたのだった。
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