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「てんめ!その目は、馬鹿にしてんのか?オレ様はな、物質という物質すべての中を泳ぐことができるんだぞ!水の中は当たり前、空気中も土の中もどこだって泳げるんだぜ!」
「え?それはスゴイな!壁も通り抜けれるの?硬い岩とかも?」
「それは無理だ。硬いものの中には入れねー。当たると痛いだろうが。」
「え?すべての物質って言わなかった?」
「あーあーあー、うるせー!壁ん中入る必要ねーだろ!気分だ気分!オレが泳ぎたいかどうかだ!」
つまり、物質の中に透過するわけじゃなくて、あくまでも物質の抵抗を利用して泳ぐということか。それにしても、"気分"とは清清しいほどの自己中な脳みそだ。
さっきは土の中を泳いでいたから、ガサガサ近づいて来たのか。納得。
「お前は合体もできてねーくせに態度でけーな」
うっ、気にしてることを。
黙り込んだぼくに、なぜか慌てる人面魚。
「お、おい。別に合体が遅いから悪いとは言ってねーぞ」
「遅いんだ、やっぱり」
「個体差があるだろうがっ!おめーがこれから、めちゃめちゃすんげー別格の合体をするかもだろ!」
何故か、フォローしてくれている?
この人面魚はそんなに嫌なやつではないのかもしれない。
「じつは、夏休みの研究で獣人の個体差や遺伝子について調べているんだけど……」
ぼくは何となく、話を振ってみた。
「おっしゃ!オレが合体できるように鍛えてやる!安心しろ!」
正直そこは全く求めていない。
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