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どんどん遠ざかっていく土の盛り上がりを、ぼくは必死で追いかけた。
「ねえ!ちょっと休憩してよー」
ぜえぜえ、はあはあーーーー。
こういう時、いくら鍛えていてもぼくは人間なのだと嫌でも思い知らされる。
ほぼ1時間くらい全力で走りっぱなしだ。
ザバッ!
Gが土の中から出てきた。
「なんだよ、もうへばったのか?そんなんじゃ今日中に空港に着かねーぞ」
「ぜえぜ、はあーはあー、ぜえぜえ、ちょっと休憩させてよ」
「しょうがねーな。じゃ、ちょっと休んでろ。確か、ちょい先に自販機があったはずだから、なんか買ってきてやる」
そう言ってGは、ザバッと潜ってあっと言う間に見えなくなった。
息ひとつ切らしていなかった。これが人間との差……。
「くわっ」
ブルーが起きた。この状況でよく寝れてたよな……。
ぐりゅりゅりゅりゅりゅー。
お腹を鳴らして、じっと見下ろしてくるブルー。
「そうだよね。お腹すいたよね、って!ブルー寝てただけじゃん!」
はあーーーー。お腹すいた。
けど気持ちいい。全力で走って疲れきった体を土の上に投げ出し大の字で寝転んだ。
土の匂い、木漏れ日、心地よいそよ風。
気持ちがいい!
このまま少し寝ようかな……。
ぼくは、寝転んだまま目を閉じた。
「おい!貴様!」
…………。
「おい!そこの人間!死んでいるのか?」
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