4. ドーベルマン四兄弟長男

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4. ドーベルマン四兄弟長男

ぼくのこと? Gとは違う、若い男の声。 起き上がって目を開けると目の前に……。 「馬?」 「今、なんと言った?貴様!わたしを知らないのか?」 ぼくは、目の前の獣人をまじまじと見た。 長い黒髪の痩せた美青年、下半身は黒い痩せた馬。……会ったことはない、と思う。 「……知りません」 「わたしを知らないとは!何たる侮辱!愚か者が!恥を知れ!」 いきなり激高、怒号。獣の血が濃いのだろうか。怒りっぽい。 「ごめんなさい」 とりあえず謝りつつ、構える。 「よかろう、カスよ。ならば教えてやろう! わたしこそは、女王陛下直系中の直系、第一皇子にして南部保安官のドーベルマン四兄弟長男ゼロだ!」 「えええええええええーーーーーーー!」 わわわ!本当だ!よく見たら痩せた黒い馬じゃなくて黒い犬だ! 足は、馬の蹄ではなく犬の足だ! 「貴様!名を名乗れ!」 鎌を突きつけられる。ひっ!よく切れそうで怖い。 「ヒョウです」 「ヒョウ、子供の人間がここで何をしている?ここは立ち入り禁止区域だぞ」 「え?そうなんですか?ぼくはマウント・ブラック空港に行こうとしてて」 「どうやってここに入った?」 これを言って信じてもらえるかどうか……。 「えーっと、母親のお腹に吸い込まれて、気がついたらここに飛ばされてました……」 「なるほど、それなら納得だ」 えーーー!そうなの? 「母親はスフィンクスか?」 「なんでわかるんですか?」 「そういうことができる力を持っているものは限られているからな」 やっと鎌を下ろしてくれた。
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