1. 惑星ビーストピア

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実の母のやることかってね。 でも、仕方がないんだ。 本人は眠っていて意識がないから、朝になったら全く覚えていない。 ストレスが原因みたい。スフィンクス系はストレスにより、幻覚や催眠能力が悪い方に作用することがある、と、図書館の種族図鑑に書いてあった。 母の豹変は、2週間ほど前から始まった。 2週間前は、ぼくの12歳の誕生日。 つまりストレスの元凶は、『ぼく』なんだ……。 「ヒョウちゃん、早く顔を洗ってらっしゃい」 優しい声にホッとする。 天窓からの朝の光が眩しい。ぼくは体を起こし家の外に出て、水浴び場に向かう。 5メートル四方のプールとシャワー。どの家庭にもある平均的な水浴び場だ。 ぼくの頭に乗っている灰色の猫の名前は、ブルー。長毛で、毛色は灰色なのだが、目がぼくと同じ青色なのでブルー。ぼくはシンプルな考えが大好きさ。 ブルーとぼくは、一緒に生まれてきた。ブルーは赤ん坊の時からずっとぼくの頭の上に乗っている。 ブルーがシャワーのスイッチを押し、顔に勢いよく水がかかった。ブルーは、肉球でゴシゴシした後、その体の毛で拭いてくれる。 あっという間に洗顔終了。 さっぱりした顔で空を仰ぐ。 暑過ぎず寒過ぎず、気持ちの良い天気だ。 空の上の方から、大きな鳥がこちらに向かってくるのが見えた。
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