4. ドーベルマン四兄弟長男

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「ところでヒョウ、君はなぜ獣人に成っていない?」 いきなりの直球の質問。そんなのぼくが知りたいよ。 「わからないので……調べてます」 ほらね。誰それかまわず言われるんだ。 「成長急促進の薬玉って知っているか?」 直球、ど真ん中! ゼロは、ぼくが正に知りたいことをいきなりぶち込んできた。 ぼくの反応をみたゼロの顔は、グニャッと歪んだ。その顔は綺麗なぶん、余計に狂気を感じる。 「調べてるんだろ?何かの書物で出てきたんじゃないか?成長を急促進させる薬玉、ランニングベイビーの話」 「ランニングベイビー?」 「そうだ。通称RUN・B(ラン・ビー)、赤ん坊がいきなり走れるようになるという例えだ。それぐらい急な成長を促す薬玉だ」 RUN・B(ラン・ビー)?見たことも聞いたこともないな……。本にもそんな名前のものはなかったし、だいたい、成長急促進の部分がごっそり破られていたんだから、調べようがない。 「ぼくは、色んな遺伝子に対応した薬玉があるってことしか知りません」 「ふーん、まあ、それもそうか。つい最近、RUN・B(ラン・ビー)の研究自体が極秘事項になったからね」 「どうして?」 「安易に薬玉に頼りすぎる者が増えてきたからだ。個体差があるから結果もまちまちでデータが少ないにもかかわらず、その不確かなデータを鵜呑みにして、薬玉を摂取した結果…………」 「結果?どうなるの?」
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