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『このっ!下等動物。お前、ルナさんにクッキーもらっていただろ!あれはペットに餌付けしただけだからな。勘違いすんじゃねーぞ!』
急にアルファが割り込んできた。
そうだった。アルファはルナさんのことが好きなのだ。
ルナさんは、高等部の美人な黒豹のお姉さん。ぼくになぜかよくお菓子をくれる。
わざわざ中等部にやってくるから目立ってしょうがない。
『ヒョウくんって、なんて可愛いの~。ああ~癒される~』
って、ぼくは愛玩動物じゃない。失礼なお姉さんだ。香水臭いし好きではないが、クッキーは美味しいのでもらっている。ブルーも大好きだ。クッキーがね。
ぼくは今、自分の成長と母さんの豹変のことで頭がいっぱいなんだ。余計なことに巻き込まないでほしい。
『はあ~~~~』
面倒くささに思わずため息が出た。
こういう態度が癇に障るらしい。
『てめっ、調子こいてんじゃねー!』
掴みかかってくるアルファ。腕をするりとかわしてお腹の下に潜り込み膝のバネをつかって下から蹴り上げた。偶然の巴投げ。
前方にひっくり返るアルファ。
たまたま投げ飛ばせたが、この後はどうしようかと思案しつつ、なんとなくファイティングポーズを取る。
『オ、オレら、そういうんじゃないから!行こうぜ!』
そういうんじゃないって、どういうんだ?セン。
伸びているアルファを担いで逃げていく生徒会のやつら。
体を鍛えているくせに、完全にやり合って人間に負けたとなると大恥だから、こうやってすぐ逃げる。
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