第二章 深まる謎

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「それより、なんでウォーマルは記憶を封印されていたんだ?」 ザンドラがセシルに聞くが、曖昧な答えしか返ってこなかった。 「俺にも分からねぇ……ただ、俺が姉ちゃんに触れた時、微かに闇の力を感じたんだ」 「闇……? 遠くの地区を支配してる闇属性の奴か?」 レオがセシルに聞き返すが、セシルは頭を捻るだけだった。 「まぁ、セシルの言ってることも、あながち間違いではないのかもな。闇属性なんてそうそういるもんじゃねぇからな。記憶を封印するほどの力となると、さらに絞られるしな」 ウォーマルを倒せば何か分かると思ったが、謎は深まるばかりで、何も分からなかった。 そんなことに頭を悩ませながらも、村に帰ってきた。 「おぉ、よぉ無事で帰ってきたのぉ」 そんな3人を、ロタールが出迎えてくれた。 「それで……セシル。ウォーマルは?」 ロタールの質問にセシルが俯けば、ロタールはそれだけで分かったらしい。 「……そうか。お前さんはよう頑張ったよ。村を追い出された時よりも、格段に強うなっとるわい。どれもこれも、傍の2人のおかげじゃろう」 ロタールはそう言って、レオとザンドラに目を向けた。 「これからも、セシルのことを支えてくれんか? レオ、ザンドラ」 「ああ、勿論だ! ロタール爺さん! あたしが守ってやるさ!」 「ちょっとザンドラ! 師匠は俺が守るの!」 「ふぉっふぉっふぉっ! 騒がしい仲間に恵まれたようじゃの、セシル!」 「……ああ。でも、最高の仲間だよ」 セシルはそう言って、ロタールに笑いかけた。 「さてと。ウォーマルを倒した記念に宴会を、と思ったが……どうやらそうはいかないようじゃ」 他の3人が不思議に思い、ロタールが見ている方向を見れば、そこには1人の人影があった。 その人影は立ち止まったと思いきや、口角を上げ、レオ達に弾を撃った。 咄嗟の判断で、ザンドラが雷の盾を出し、攻撃を防ぐ。 「っ! あいつっ……!」 「知ってるのか? ザンドラ」 セシルがザンドラに聞けば、ザンドラは頷いて、その名を言った。 「サンバダだ。あたしの故郷、ザタゼブル地区の指導者だったが……まさかあいつ……!」 ザンドラが、見たこともないような険しい顔をしている。 そんな時、サンバダの声が耳に届いた。 「ザンドラ! そして勇者御一行! 俺はお前らに、挑戦状を叩きつける! 拒否権はない! もし拒否しようものなら、雷で丸焦げになるだろうな!」 「どうやら、雷の使徒にされたようじゃ。きっと、本人の意志じゃないじゃろう」 ロタールがザンドラに優しく言うが、ザンドラはそんなこともお構い無しみたいだ。 「サンバダ! お前どこまで堕ちるつもりだ! お前を慕う人を、どれだけ裏切るつもりだ!!」 「おおザンドラ! まだ元気そうでよかったよ! お前との戦いが昨日のことのように思い出せるぜ! 周りを犠牲にしたお前の顔は、今も変わってねぇだろうなぁ?」 ザンドラの握り拳が、さらに強く握り締められる。 「お前の思い出の場所で待ってるぜ、可憐なお嬢さん!」 サンバダはそう言って、笑いながら去っていった。 「……ザンドラ」 ザンドラはサンバダがいた方向をただ見つめ、握り拳を作り続けていた。 「行くしかないよな、そうだろ、ザンドラ」 レオがザンドラにそう言えば、ザンドラは驚いたようにレオを見た。 「ああ、レオの言う通りだ。ザンドラ1人じゃ心配だからな」 「レオ、セシル……」 セシルがザンドラの肩を優しく叩けば、ザンドラは眉を八の字にして微笑んだ。 「ありがとうな、2人とも」 「あったり前だ!」 「俺らのことも頼ってくれよ?」 そんな3人を、ロタールは遠くから見ていた。 「……ロタール叔父さん」 「うむ。止めやせんぞ、セシル。存分に楽しんでこい!」 ロタールに背中を押されたセシルは、その言葉を聞いて、力強く頷いた。
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