13人が本棚に入れています
本棚に追加
/44ページ
第三章 解明への一歩
翌日。
ザタゼブル地区に行く前に、ザンドラの家で朝食を食べる。
「……あたしに質問したいこと、沢山あるだろ」
ふと、ザンドラがレオとセシルの2人にそう言った。
「どんな質問でも答えてやるよ」
「……ザンドラはザタゼブル地区出身なのか?」
レオの質問に、ザンドラが頷く。
「サンバダとの関係性は?」
次のセシルの質問には、少し間を置いたあと、答えた。
「ただの領主と一般人さ。正しくは、領主に文句があった一般人、か?」
ザンドラがそう言ったあと、今までしてこなかったような、儚い笑みを浮かべた。
「まぁとりあえず、今はあいつを倒す他ないな」
「ああ。いっちょぶん殴らなきゃ気が済まねぇ」
ザンドラはそう言ったあと、深呼吸して「よしっ!」と声を張った。
「行くぞ、2人とも! 新たな冒険だ!」
「ああ、そうだな! 行くぞ、師匠!」
「ちょ、ちょっと待てよ。ロタール叔父さんに挨拶しなきゃ」
セシルがそう言うと、レオとザンドラは察したように「んじゃ、村の出口で待ってるからなー」と言って家を出た。
セシルはその2人と反対方向に歩いていき、着いたのはロタールの家。
ノックをすれば、ロタールが出てきた。
「おおセシル。もうそろそろ旅立つ頃だと思っていたよ」
「ロタール叔父さん……」
「良い良い。この村に縛りつけておくのも苦なことじゃ。好きなことをやるといい。じゃが、必ず、生きて帰ってくるんじゃぞ」
「……ああ。必ず」
2人はそう会話を交わしたあと、目を合わせ、セシルはレオとザンドラの方へと走っていった。
「元気での、セシル」
ロタールのその言葉は、セシルに届かずに、青い空へと消えていった。
最初のコメントを投稿しよう!