第三章 解明への一歩

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「まずはザンドラの故郷に行くのか?」 セシルがそう言うが、ザンドラは「いや」と否定した。 「あたしは行きたくない。隠れ家があるから、そっちに行こうぜ」 「わかった、強要はしないよ」 レオがそう返すと、「ありがとう」とザンドラが言い、微笑んだ。 隠れ家は然程遠くなく、すぐ着いた。 その隠れ家は最近全く使われていなかったからか、所々が蔦で覆われている。 「汚くてすまねぇな、許してくれ」 「もう慣れっこだよ」 セシルが笑って返し、ザンドラの肩を優しく叩いた。 「もう陽も沈みそうだな。今日はもう、ご飯を作って寝るか」 「材料とかあんのか? ザンドラ」 「家にはないが、探してみるよ」 ザンドラはそう言って、家を出た。 「……なぁ、師匠。ザンドラの様子、少しおかしくねぇか?」 「レオもそう思ったか。いつもより元気がないな」 レオとセシルの2人は、そう会話を交わしたものの、そんなに心配することではないだろう、と話を終えた。 数十分後、ザンドラが様々な材料を持って帰ってきた。 その中の大半は、セシルが見た事のない材料ばかりだった。 「なんだこれ、初めて見たぞ」 「ザタゼブル地区特有の食べ物だからな。折角だから、あたしが料理を作ってやるよ」 「ザンドラ作れるの?」 レオが訝しげにザンドラを見たが、ザンドラは「地元の材料なら出来るぜ」と言ってニッと笑った。 「まぁ待ってろ。最っ高の料理を作ってやるからよ」 「……まぁ、期待しないでおくよ」 ザンドラの自信満々な言葉に、セシルは息を吐いた後にそう呟いた。 そうして出来たのが、シチューのようなもの。 「さぁ召し上がれ! 安心しろ、めちゃくちゃ美味ぇから!」 ザンドラの言葉を疑いながらも、レオとセシルがシチューを口に運ぶ。 その直後、2人の顔がぱっと晴れた。 「美味ぇな……」 「ザンドラすげぇじゃん! 超美味ぇよ、これ!」 「そうだろそうだろ! いやぁ久々に作ったんだが、腕が落ちてなくてよかったぜ!」 そう言ったあと、ザンドラも椅子に座り、シチューを口に運び、「うん、美味ぇ」と微笑みながら頷いた。 晩御飯のあと、3人は軽く雑談を交わし、床に就く。 何事もなく、昨日とほぼ何も変わらない朝を迎える。 と思いきや、家の中にはザンドラの姿がなかった。 それにいち早く気付いたレオはセシルを起こし、2人で家の中や外を探すが、いよいよ見つからなかった。 そんな時、レオが机の上に置いてある手紙に気付いた。 「なぁ師匠、手紙が置いてあるよ」 レオの声を聞いて、その手紙を取って読む。 [お前たち2人がこの手紙を読んでいる時には、もうあたしは家の中にいないだろうな。まず謝らせてくれ。夜ずっと考えたんだが、やっぱり2人を連れていかないことにしたよ。あたしとサンバダには切れない因縁がある。その因縁に、2人を巻き込むことはできない。自分勝手な理由で、本当にごめん。どうかこんなあたしを許してくれ ザンドラ] 手紙を読んだあと、レオとセシルの2人は数秒、何も言えなかった。 「ほんっと、自分勝手だな……」 「この手紙の答えは決まってるよな、師匠」 2人が目を合わせ、頷く。 「置いていったこと、許せるわけねぇだろ」 「ザンドラを探すぞ、レオ」 「ああ」 2人が会話を交わしたあと、急いで家を出た。
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