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ザンドラの故郷へと行く道のりでも、敵は何体も出てきた。
「前はこんな物騒な地区じゃなかったのに………」
「サンバダの力が増している証拠だな。敵も強くなってきている。油断は禁物だぞ」
ザンドラの呟きに答えるように、オルランドがそう言った。
確かに、段々と敵が強く、そして多くなってきている。
サンバダに近付いている、というのもあるだろう。
歩いていると、少しずつ目の前に村が見えるようになる。
「あれがあたしの故郷だ。急ごう」
ザンドラが足を早め、その後に続く。
村に入れば、住んでいる人達が歓迎してくれる。
「おかえり、ザンドラちゃん。その方たちは?」
村長であろう老婆が近付いて、話しかけてきた。
「あたしの仲間だよ。数日間ここに泊まらせたいんだけど、空きあるかな?」
「ええもちろん。料理もご馳走するわ」
「ありがとう、村長」
会話をした後、ザンドラの家であろう家屋に入る。
中は綺麗で、ザンドラが1人になった後、ここで過ごしていたのだと分かる。
ザンドラが人数分のコップに水を注ぎ、レオ、セシル、オルランドに手渡す。
「さて………どこから話そうか」
ザンドラは一口水を飲んだ後、そう話を切り出した。
___ザンドラは昔、サンバダの兄弟姉妹の家庭教師をしていた。
家庭教師とは言っても、ザンドラは頭はあまり良くない為、魔法や体術を教えていた。
実際ザンドラは、魔法や体術の実力は優秀と言えるものだった。
サンバダも、ザンドラを信頼していた。
ただ、サンバダがおかしくなったのはいつだったか。
この前までは温厚で、地区に住んでいた人たちを思いやる、誰もが信頼する人だった。
だが急に、辛辣になった。
疑わしきは罰せず。
弱き者は強き者に支配されるべきだと。
当然ザンドラは、それに反論した。
そのザンドラの態度が気に食わなかったサンバダは、ザンドラが兄弟姉妹を傷つけたとでっち上げて、死刑判決をした。
ザンドラはそれに対抗しようとしたが、街の住民達がそれを許さなかった。
外道。悪者。死刑囚。お前は罰せられるべきだ。
沢山の罵倒を浴びた。
そんな中、ザンドラはサンバダに提案した。
サンバダがザンドラに勝てば大人しく死刑を認める。だがザンドラが勝った暁には、支配するのはやめてもらう、と。
サンバダは快くそれを受け入れた。
結果は、サンバダの勝ちだった。
ザンドラは死刑を待つだけだったが、その強さを認めたサンバダが、ザンドラの死刑を取り消し、代わりに地区から永久追放をした。
サンバダの支配は続いたまま。
ザンドラは故郷に別れを告げ、いつか叶う復讐を夢見ながら、地区を去った。
___「とまぁ、そんなとこだ」
ザンドラが話し終わったあと、レオは無意識に詰めていた空気を吐いた。
「そんなことがあったんだな………」
「………理不尽でしかないな」
セシルとオルランドは、そう言葉を漏らした。
「でも、良かったぜ。ザンドラが故意に人を傷つけてないと分かって」
「そんなことやるわけないだろ?」
レオの安堵の声に、ザンドラは笑って答えた。
「………さてと。話し込んでいたらもうこんな時間だ。村長の家に行こう。あの人の料理はうめぇんだ」
ザンドラがそう提案して、レオとセシル、そしてオルランドは賛成した。
出会い、そして仲間との再会に、レオは輝く未来を夢見た。
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