第三章 解明への一歩

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村長の家に入ると、何とも香ばしい、美味しそうな匂いが鼻を掠めた。 「あら、いらっしゃい!料理出来てるわよ!」 「いつもごめんな、村長。助かるよ」 ザンドラがそう言えば、村長は「全然いいのよ!」と言って微笑んだ。 テーブルに並んでいるのは、丁度よく焦げ目がついた、大きなグラタン。 今いるのは5人だが、それ以上の量があるような、それほど大きいグラタンだ。 「さぁお食べ!沢山あるわよ!」 「張り切りすぎだよ村長」 ザンドラが笑って言うと、レオ、セシル、オルランドは「それでも足りないくらいだ」と見栄を張った。 全員が椅子に座り、「いただきます」と声を張った。 皆が熱々のグラタンを頬張っている時、村長がザンドラ以外の3人に話しかける。 「ザンドラと仲良くしてくれて、ありがとうね」 「いえ、いいんですよ。ザンドラも俺たちの大切な仲間ですし」 「師匠の言う通りだぞ!ザンドラは俺に技を教えてくれた。俺にとって、もう1人の師匠なんだ!」 レオが嬉しそうに話すと、村長は「あらあら」と言って控えめに笑い、ザンドラは照れを隠す為に、口いっぱいにグラタンを詰め込んだ。 「そう言えばずっと気になっていたんだが、お前たちは何故旅をしているんだ?」 オルランドにそう聞かれ、そういえば話していないことに気付いた。 「俺が住んでた地区にファブルっていう悪いやつがいたんだ。そいつに家族を奪われて………仇を取ったら、ヘルムレ地区の悪いやつが来て………流れに沿って来たら、こんなことになっちまった」 「ふむ………中々辛い経験をしてきたんだな」 レオが話した後、慰めるようにオルランドがそう言った。 「そして次は、サンバダを倒す。あたしはあいつに借りがあるんだ。必ず、返さないと」 「………ふむ。それならば俺もお供しよう。悪者は倒さねばならん」 オルランドがそう答え、ザンドラが「ありがとう」と微笑んで言った。 それを遮るように、村長が声をかける。 「本当に行くのかい?サンバダは………」 「分かってる。サンバダは洗脳されてるだけだって。本当はあんなのじゃないって、分かってる。ガツンと魔法を食らわせて、目を覚まさせてやるよ」 ザンドラがそう意気込んでも、村長は心配そうな顔をしたままだった。 やがて決心したのか、「そうかい」と呟いた。 「なら、今日はたっぷりと寝ないとね!それと、雷に有利な属性があるとはいえ、油断はしちゃいけないよ。サンバダはザタゼブル地区一の魔法使いさ。何か策はあるんだろうね?」 村長の最もな言葉に、皆言葉を詰まらせた。 次に声を出したのは、オルランドだった。 「俺が皆に色々教えてやろう。レオには新しい技を、セシルとザンドラは元がよく出来てるから、雷属性の対処法を教えよう」 「新しい技?!どんなの、どんなの?」 レオがオルランドにそう言って詰め寄るが、それを村長が止める。 「特訓はまた明日だね。今日はもう暗い、泊まれる家に案内するから、着いておいで」 村長がそう言えば、レオは不服そうだが、素直にそれに従った。 村長に案内され、各自床に就いた。 腹一杯に食べ物を詰め込んだ、レオ、セシル、ザンドラ、オルランドの4人は、明日の特訓の為に、ぐっすりと眠りについた。
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