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レオとオルランドが外に出て、向かい合った。
「まずは今から教える技を見せよう」
「うん、わかった」
レオがそう返事をすると、オルランドは目を瞑り、拳に力を集中させる。
レオでも分かるほどに、その拳に膨大なパワーが集まっている。
オルランドが目を開き、その拳を地面に叩きつければ、オルランドの真正面、レオの手前まで、土の柱が地中から何本も出てきた。
「………土柱だ。これを応用すれば、火属性でも使えるだろう」
「す、すげぇ………!早く教えて!俺も使えるようになりたい!」
「そう焦らなくても教えるぞ」
オルランドはレオに、まず拳にパワーを溜めるところからと言った。
「ん〜………こ、こう?」
「まだダメだな、パワーが足りない。もっと拳に意識を寄せてみろ」
オルランドの的確な指導により、レオは練習を重ねていく。
「………こ、う?」
「………うむ、上出来だ。次はそれを地面に叩きつけ、溜めたパワーを一気に放出するんだ。ポイントは、溜めたパワーをそのまま維持することだ」
オルランドがそう言ったあと、レオはその拳を地面に叩きつける、が。
「いってぇ!」
「地面に触れる前にパワーが分散しているな。集中を途切らせるんじゃないぞ」
レオはこの技が、見掛けよりとても難しいことを痛感した。
拳にパワーを溜めることは慣れたらしく、次は失敗しなかった。
「集中したまま、拳を地面に………」
レオがそう呟き、地面に拳を叩きつけた。
そうすると、たった一本のみ、土柱ならぬ火柱が出た。
「うむ、まぁ最初はこんなもんだ。………いつの間にか、日が真上にまで昇っているな。昼飯にしよう、レオ」
「………あぁ、わかった」
レオは自分の努力不足に気付き、少し落ち込んでいるようだった。
それに気付いたオルランドは、力いっぱいにレオの背中を叩いた。
「いたっ!何すんだよオルランド!」
「そんなシケたツラするな。最初は皆あんなもんだ。勿論、俺もそうだった」
「そうなのか………?」
レオのその顔を見て、オルランドは力強く頷いた。
「それに、お前は才能がある方だ。自信を持て」
「………うん、そうするよ。ありがとう、オルランド」
レオが微笑んでそう答えると、オルランドは「さ、昼飯いっぱい食べて、また特訓だ」と言った。
オルランドの大きな背中に、レオは何となく、自分の父を重ねた。
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