第一章 冒険の始まり

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 「……オ……レ……レオ!」  自分を呼ぶ声に、レオは目を開けた。目の前には、見知った顔があった。  「ん……師匠……?」  そこにはレオの師匠のような存在でもある、セシル・ロウサムがいた。 「 ああ良かった! もう目が覚めないのかと思ったよ」  レオは自分の体を見れば、火に包まれたであろうに、火傷痕はもちろん、傷痕すら付いていなかった。  「師匠が、治してくれたの……?」  「ほんと、大変だったんだからな! 村の男からレオがファブルの所に向かったって聞いて、急いで助けに行ったんだ」  そんなセシルの声も聞こえない程に、レオの頭は混乱していて、いつの間にか、レオの目からは大量の涙が出ていた。  「し、ししょおおおおおお!! 怖かったよおおおお!!!!」  「ああ……そうだな。よく頑張ったよ、レオは」  レオがそう泣き叫んで師匠に抱きつけば、セシルはそう言って、優しく頭を撫でてくれた。  「村に誰もいなくて……家族も失って、あいつの事許せなくて、でも倒せなくて、悔しくて……」  そんなレオの、愚痴とも取れる言葉を、セシルは静かに聞いてくれた。レオが泣き止むまで、セシルはずっと背中を摩っていた。  泣き止んで正常な判断が出来るようになり、レオはセシルに質問をする。  「師匠は、生き残ってたんだな」  「ああ。俺もその時村にいたんだが、あいつらは燃やすだけ燃やして帰っていきやがった。何も出来なかったんだよ、俺は」  セシルの顔には微かに、悔しさが滲んでいた。  「……なぁ、レオ。提案があんだけどさ」  「ん? 何……?」  セシルはレオの目をしっかりと見つめ、こう言った。  「俺も連れてってくれ。俺も、復讐したいんだよ。家族を、焼かれたからな」  選択肢は、1つだった。  「ああ、もちろん! 師匠が仲間だったら、百人力だぜ!」  レオがそう言ってニカッと笑えば、セシルは「ありがとう」と返した。  「だがその前に、お前も鈍ってるだろ。特訓しなきゃな」  「えー? 師匠の特訓厳しいから嫌なんだけど……」  そう言ってレオが目を逸らせば、セシルは1つ溜息をつき、「見返したいんだろ?」と言った。  「そりゃ、そうだけど……」  「じゃあやらなきゃ! とっておきの技を教えるからさ」  「とっておきの技?!」  レオはその言葉にだけ反応し、目を輝かせれば、セシルは笑顔で頷いた。  「それを教えて、扱えるように特訓しよう!」  「うん! 教えて、師匠!」  急いでのことだが、厳しい特訓が始まることとなった。
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