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「……オ……レ……レオ!」
自分を呼ぶ声に、レオは目を開けた。目の前には、見知った顔があった。
「ん……師匠……?」
そこにはレオの師匠のような存在でもある、セシル・ロウサムがいた。
「 ああ良かった! もう目が覚めないのかと思ったよ」
レオは自分の体を見れば、火に包まれたであろうに、火傷痕はもちろん、傷痕すら付いていなかった。
「師匠が、治してくれたの……?」
「ほんと、大変だったんだからな! 村の男からレオがファブルの所に向かったって聞いて、急いで助けに行ったんだ」
そんなセシルの声も聞こえない程に、レオの頭は混乱していて、いつの間にか、レオの目からは大量の涙が出ていた。
「し、ししょおおおおおお!! 怖かったよおおおお!!!!」
「ああ……そうだな。よく頑張ったよ、レオは」
レオがそう泣き叫んで師匠に抱きつけば、セシルはそう言って、優しく頭を撫でてくれた。
「村に誰もいなくて……家族も失って、あいつの事許せなくて、でも倒せなくて、悔しくて……」
そんなレオの、愚痴とも取れる言葉を、セシルは静かに聞いてくれた。レオが泣き止むまで、セシルはずっと背中を摩っていた。
泣き止んで正常な判断が出来るようになり、レオはセシルに質問をする。
「師匠は、生き残ってたんだな」
「ああ。俺もその時村にいたんだが、あいつらは燃やすだけ燃やして帰っていきやがった。何も出来なかったんだよ、俺は」
セシルの顔には微かに、悔しさが滲んでいた。
「……なぁ、レオ。提案があんだけどさ」
「ん? 何……?」
セシルはレオの目をしっかりと見つめ、こう言った。
「俺も連れてってくれ。俺も、復讐したいんだよ。家族を、焼かれたからな」
選択肢は、1つだった。
「ああ、もちろん! 師匠が仲間だったら、百人力だぜ!」
レオがそう言ってニカッと笑えば、セシルは「ありがとう」と返した。
「だがその前に、お前も鈍ってるだろ。特訓しなきゃな」
「えー? 師匠の特訓厳しいから嫌なんだけど……」
そう言ってレオが目を逸らせば、セシルは1つ溜息をつき、「見返したいんだろ?」と言った。
「そりゃ、そうだけど……」
「じゃあやらなきゃ! とっておきの技を教えるからさ」
「とっておきの技?!」
レオはその言葉にだけ反応し、目を輝かせれば、セシルは笑顔で頷いた。
「それを教えて、扱えるように特訓しよう!」
「うん! 教えて、師匠!」
急いでのことだが、厳しい特訓が始まることとなった。
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