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「まずはそうだな……少し期間が空いてしまったから、今のレオの力を確かめよう。全力で打ってこい」
「はい、師匠! それじゃあ、容赦なくッ!」
レオが手から生み出した火球を、段々と大きくしていく。持ち前の素早さを活かし、セシルとの距離を一気に詰め、火球を押し出す。
予想通りと言うべきか、レオの火球は軽々しく、セシルの水によって消火された。
「そんなもんじゃないだろ! ほらもっと!」
「ッ……!」
その言葉に闘争心を燃やし、レオは自分の気力が無くなるまで、セシルに攻撃を繰り返していた。が、どの攻撃も当たらずに消火されていき、ついに、レオの息が上がってしまった。
「師匠……火属性が、水属性に勝てるわけ、ないじゃん……」
「ああ、そうだな。そんなこと分かってる。ただ、ファブルはお前と同じ火属性だぞ? 俺に勝てるようになれば、ファブルにも勝てるってわけさ」
レオは膝に手を付き、息を整えながら、セシルのその言葉を聞いていた。
「それで……とっておきの技ってのは……?」
「まだ教えられねぇな。お前、訓練疎かにしてただろ? 前よりも鈍ってるぞ。まずは基本的なことをやるんだ」
レオは不満の言葉を出しながらも、この前の特訓を思い出し、基本的なことを練習した。
数十分経ったあと、セシルがレオを止める。
「よし、そんくらいで大丈夫だろう。んじゃ、技を教えるぞ」
「やっと……! どんなのどんなの?」
「まず、俺がやってみせるな」
セシルはそう言って、いつもと同じように水球を作って、それを投げた。なんだとレオが落胆したその矢先、その水球が爆発したではないか。
「な、なんだそれ?!」
「名ずけて、「水爆」だ。普通の水球よりも、攻撃力は段違いだ」
「火球でも出来るのか?」
「ああ。むしろ、火球が本命だ」
そんな会話をした後、セシルはレオに火爆を教え始めた。見た目よりとても難しく、何回やっても火球以上の物が出てこなかった。出たと思っても、爆発力が著しく低かったり、途中で消えたりと、とても苦戦した。
「レオ、諦めるな。確実に出来上がっているぞ」
「頼む……出ろッ!」
レオの手から出た火球は、これまでと違うパワーを秘めており、レオがそれを投げれば、見事、大きな爆発を起こした。
「……や、やったぁ! 出来たっ!」
「流石だぞレオ! やっぱり才能あるな、お前は!」
セシルはそう言って、レオの頭を撫でた。
「だが、これで終わりじゃないぞ。これをどんな時でも出せるようにしなくちゃならない」
「ああ……俺、頑張るよ!」
レオのその返事に、セシルは笑顔で頷いた。
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