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目標は、10回連続成功。
でも中々出来ず、途中で失敗したり、変な方向に飛んでいったりすれば、また最初から。
何時間経ったかも分からない時。
汗も沢山かいて、へとへとになってきた。
が、ここでギブアップしちゃいけない、とレオは自分の体に喝を入れた。
そしてやっと、10回連続成功を、達成した。
「やった、やっと……」
「うん、本当によくやったよ。だが失敗することもあるかもしれない。練習は欠かさずにやらないとな。精一杯やって疲れたろ。攻め込むのは明日にして、今日は休もう」
セシルがそう言ったあと、レオはその場にすとんと座り込んだ。
「疲れた……」
「ふ……ほら、水だ。たんと飲んでくれ」
セシルが水球を生み出し、レオの前に差し出す。
レオは慣れたように、その水球に顔を入れて、無くなるまで水を飲んだ。
「……ぷはっ! ありがとう。助かったぜ、師匠」
「ま、これが仕事みたいなもんだからな」
少し休んだあと、二人が住んでいた村へと戻る。
肉が焦げる臭いや火の臭い等は消えたが、その惨状は村中に色濃く残っていた。
そんな村の中で、ほのかに光を放っている空間があった。
二人がそこに行けば、どこにいたのやら、村の生き残りが焚き火をしていた。
「あれ、みんな? い、生きてたの?」
レオが拍子抜けしてそう言えば、みんなが二人を笑顔で迎えた。
「セシルが逃がしてくれたんだ! 逃げ遅れた奴らもいるがな……」
その言葉を聞いて、レオがセシルを見れば、セシルは笑顔でレオを見て、頭を優しく叩いた。
「俺が見捨てるわけないだろう? 俺一人だったから、逃がせる人数も限りがあった……レオの家族も、逃がせられなかった。本当に、すまないな」
もしかしたらセシルは、レオに咎められることを怖がって、今まで言わなかったのかもしれない。
だけど、悪気がないことなんて分かっている。
レオだって、もう大人だから。
「大丈夫だよ、俺は! いや、大丈夫ではないけど……少なくとも、師匠のせいだとは全然思ってない! それよりも、村の人たちをこんなにも助けて、俺は師匠のこと、誇りに思ってるよ」
レオがそう言えば、セシルは泣きそうな顔をレオに向けて「ありがとう」とただ一言だけ言った。
そんな空気を切り裂くように、村の男の1人か話し始める。
「俺、みんなの為に食料を持ってきたんだ! 分け合って食べようぜ!」
男がそう言うと、周りのみんなが騒がしくなる。
この喧騒がいつもと変わらないことがとても嬉しくて、レオの目から一筋、涙が零れた。
「おいレオ! お前も来いよ!」
「っ……ああ!」
男がレオを呼ぶ声に、レオは涙を拭って、笑顔で答えた。
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