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「なに、これ!」 思わず口から裏返った言葉が飛び出した。 「どうしたい、お嬢ちゃん?」 運転手がミラー越しに澪を見る。 「ごめんなさい、なんでもないです」 慌ててロを押さえた澪だったが、驚愕なメール内容に動揺を隠すことができなかった。   なんで、お姉さんがわたしのこと、こんなに詳しく知ってるの?内容通り、ショートボブな後ろ髪を撫でた。再びメールが届く。 「自分のことで他に聞きたいことある?」 「両親の名前は?」と、恐る恐る、返信を返す澪。 「父、朝倉敏明、市役所に努める公務員。ヘアースタイル、カッパハゲ。かつらを購入しようか検討中。母、美代子、三段腹に悩みタ食を抜くが三日坊主。昔は私だってねぇ〜がロ癖。アナタ、大人になったら、母のようにはなりたくない!って思ってるでしょう?でも安心して、十四年たっても、ああならないように努力してるから」 「ブッ!」思わず吹き出した。「全く、その通りだわ」十四年後も太っていない自分に感謝しながら送信ポタンを押す。 「信じて貰えたかしら?」    もう疑う余地がない。「はい。信じます」返信を送った。 「良かった。きっとアナタは、まだまだわたしに尋ねたいことが山程あるでしょうけど、後にしてね。本題に入りたいの。まず、アナタの今の時間と場所を教えて?」 「はい。時間は、午前八時五十五分です。場所はタクシーの中です」 澪は窓の外、流れる景色に視線を向ける。 「タクシーの中、今、どの辺を走ってるの?」 「今、どの辺って、あの、なんでそんなこと聞くんです?」 「いいから、答えて」 「川島に、もう少しで入ります」 「まずいわ、停車しなさい」 「えっ?」 訳がわからないという意味を込め、澪は額をかく。 「あの、一方的過ぎて、訳がわかりません」力任せに送信ボタンを押した。少しの間、返信が止まる。やがて受信音が鳴った。 「メールじゃまどろっこしいから、今携帯に電話したら通話中だったわ。考えてみればバカよね、携帯番号はそのままだもの繋がるはずがないわよね」
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