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澪はメール内容を頭に叩き込みながら運転手を急かす。「運転手さん、もっとスビードをあげて!」
「そんなこと言ったって、法定速度ってもんがあるよ!」運転手が困り顔で言い返す。
「そんなもの守ってる暇なんてないわ、人の命がかかってるのよ!」
「ひっ、人の命!なんかあったのかい?」
「ええ、大ありよ。とにかくお願い、急いで」
澪はそう言うと、またぐようにして後部座席から、助手席へと移動した。深刻な表情をしている。運転手はその表情に息を飲むと「わかったよ、お嬢ちゃん、なにがあったのかは知らねーが、しっかり掴まってろよ。飛ばすからな!」そう言ってアクセルを限界まで踏み込んだ。
二斜線の道路を車と車の間をギリギリに抜けて次々に抜き去って行く。ニ斜線が終わり一斜線になると、対向斜線にはみ出しながら車を飛ばした。
「ヒャー!」対向車とぶつかりそうになり、目を両手で覆う澪。
「イヒヒヒ、気分がすっとするぜ!」心は今どこにあるのか?不適な笑みを浮かべる運転手。
「おじさん、もしかして、昔、暴走族だった?」恐怖におののく顔で、澪は聞いた。
「おう、よくぞ聞いてくれた。何を隠そう、オレは暴走族の元総長」そこまで運転手が言った時、けたたましいクラクション音が鳴り響いた。目前、対向斜線にはみ出していたタクシーにせまる大型トラック。
「うひゃーっ!」澪はダッシュボードに両手をつき顔をふせる。
「おらよっと!」運転手は寸前の所でハンドルを切り本線へと戻った。しかし「ちんたら、走ってんじねーよ!」再び、対向斜線にはみ出して前方車を抜かしにかかる。
「さっ、さすが、元総長だ」澪が額の汗を拭いなが言った。運転手は、一瞬だけ横目を澪に流すと苦笑いを浮かべる。そして、こう言った。「いや、ちょっと違うかな、オレは元総長に憧れてた元風紀委員だったからな」
間もなく車は山の登り口にさしかかる。
その時、澪の視線が五台前を走る緑色のダンプを捕えた。
「おじさん、あのダンプの後ろについて」指を差す。
「よし、わかった!」運転手は、対向車がいないことを確認すると、斜線をはみ出し、一気に四台をごぼう抜きした。するりとダンプの背後に車をつける。
「ねえ、あのダンプって、居眠り運転してるように見える?」様子を伺いながら運転手に聞いてみた。
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