41人が本棚に入れています
本棚に追加
おまけのおまけ『君の名前は?』
とある競馬場。
最終レースを終えた人々が家路を急ぐ。
足取りも軽く満面の笑みを浮かべる者。
ガックリと肩を落としトボトボ歩く者。
その様は悲喜こもごも。
「すいませーん。
インタビューさせて下さぁい...♪*゚」
新人レポーターがひとりの男にマイクを差し向ける。
「え?」
屈強な体つきに無愛想な無表情。
突撃インタビューのターゲットにこんな男を選ぶとは…元地下アイドルのレポーターもなかなかの強者だ。
「お名前、教えていただいていいですかぁ?」
「嫌だ」
「はぁ?何でですかあぁ」
「絶対嫌だ」
下がり眉を八の字に寄せ、頑なに拒む男。
「えーっ、いいじゃないですかぁ。
お名前 お・し・え・て♥」
上目遣いの大きな瞳を瞬かせ、艶やかな唇をツンと尖らせる。
『秘技・天使のおねだり』
アイドル時代に培ったあざと可愛い仕草。コレで堕ちない男はいない。
男の心臓もドクンと跳ね上がった。
「俺の名前はoஇoஇoஇoஇ だ」
口の中で呪文のように唱える。
「えー?聞こえない」
「俺の名前はoஇoஇoஇoஇ だ」
「ん、もう!
全然聞こえないよぉっ」
ツインテールに結った頭を左右に振ると、形の良い胸もプルんと大きく揺れた。
男は唾を飲み、意を決す。
「俺の_______________」
「…え…“うるわし きよすみ“??
うるわし?ウルワシィ??!」
ぷっと吹き出す素直なレポーター。
雲類鷲の顔は、今沈みゆこうとしている夕日よりも真っ赤に染まる。
そして心の中で大きく舌打ちした。
『だから嫌なんだよ。名前言うの』
*´∀`*´∀`*´∀`*´∀`*´∀`*
3番目の彼の名前が知りたいのお声をいただいたので、SSを書いてみました。
ついでにイラストも加工。
りうじさんが『競馬場通ってそう』と仰っていたので、耳に赤ペンを挟んでます(笑)
2021.2.6
最初のコメントを投稿しよう!