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コラボ企画(おまけ3)
にしても、凉ネェ…何をあんなに焦ってたんだ?
二本目の煙草に手を伸ばしながら思案する。
✼
会合が終了すると、真柴は足早に凉袮の元へと向かった。
「凉ネェ。援護射撃ありがとう」
凉袮は書類をビジネスバッグにしまいながら振り返る。
「やだわ、お礼なんて水臭い。
私と涼ちゃんの仲じゃないの」
甘く笑み
「それにね、地主園グループ次期専務執行役員としても真柴副社長の提案は現状を打開するに足る重要案件だと判断したからよ。
涼ちゃん、立派になったわね。流石、私の自慢の弟だわ」
大きな瞳を愛おしげに細めた。
「.......///」
クソっ__________単純に嬉しい。
まるでテストで100点をとって褒められたような気分だ…って、おれは小学生か!
凉袮といると、どうも調子が狂う。
高揚を気取られまいと、ポーカーフェイスを装ってみせた。
「なぁ。久しぶりに会ったんだし、この後一緒に飯でも____」
「あぁ!ヤバっ。遅刻する!!」
真柴の言葉に被るように凉袮が叫び声をあげた。
「ごめん。今日は後輩とランチの約束してるのよ」
その足は既に出口へと向かっている。
「おい、ちょっ…凉ネェ!」
「またね、涼ちゃん!
I Love you. My sweet baby.」
投げキッスをひとつ寄越し、ヒールの音を響かせなが足早に会場を後にした。
✼
後輩って言ってたけど、まさか男じゃねぇだろうな。
途端、眉間に皺が寄る。
そういや、やけにお洒落してたな…浮かれてるようにも見えたし。
イラッとしながら、シュガレットケースから抜いた煙草を容良い唇で喰む。
凉ネェだってそこそこいい歳だし、あれだけのルックスだ。
男の1人や2人いたって不思議はねぇか。
いや、2人は不味いだろう!
姉の恋人に嫉妬する弟の心境ってのはこんな感じなのか?ホント調子狂うわ。
軽く頭を振り、愛用のZIPPOで火をつけた瞬間、スマホがSNSからのメッセージ着信を告げた。
凉袮だ。
開くと、女子が好きそうなプレート料理を前に満面の笑みを浮かべる凉袮と控えめに微笑む女性が写った写真が届いていた。
『後輩の柚里香...♪*゚
安心して。ランチの相手は彼氏じゃないから』
まるで真柴の気持ちを見透かしたような文章にチッと軽く舌打ちし
『別に。全然心配してねーし』
と素っ気なく返す。
直ぐに既読が着き、スタンプが送り返されてきた。
…何だ、このふざけたスタンプは…
続いてメッセージが届く。
『言い忘れてたけど、デートのお誘いは2日前迄に連絡してね。
スケジュール調整するから♥』
…ったく。
くわえ煙草で素早く返信を打つ。
『じゃ、明後日の18時空けとけよ』
凉袮からの返事を待たずに画面を閉じた。
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