同期、高松

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「恋愛って呼べるような好きかはわからなかったけど、ちゃんと好きだったよ。だからしたんだ」 「女の子好きになったことあるんじゃん」 「うーん、人から聞く好きって……恋愛の好きって、俺にはないんだよな。ドキドキしたりとか、相手のことを考えると眠れなかったりとかそういうのはないんだ。自分から付き合いたいと思ったこともないし。ただ、そんな自分を好きになってくれた人への感謝の気持ちだけはものすごくあった。いつもすぐ振られるけどね」 「好きの感じ方は人それぞれだろ。お前が言うのも好きの一種だと思うけど……何で振られるの?」  私は一呼吸置いてから答える。 「何か違ってた、って言われるね。まあ理由はわかるけど」 「理由って?」 「つまらない男だから」 「どこが?」 「うん、そうだね、わかった、ありがとう、またね、バイバイ、以外は女の子としゃべったことないもん」 「そらつまらんわ」 「でしょ。ミウちゃんの方がよっぽどしゃべってくれる」  気がつくとミウに敬称まで付けていた。ミウは高松だけでなく私にとっても紛れもない人。人、人、人……では私は一体何であろうか。生きているようで生きていない。三次元のようで三次元でない。私は本当に存在しているのだろうか。 「ミウちゃんの方がおしゃべりだって?そりゃそうだ」  私たちは顔を見合わせて笑った。二人とも童貞みたいな顔をしてる。 「もっと自分から話せばよかったのに」 「聞くだけで十分楽しいんだよ。女の子が楽しそうに話してるのを聞くだけで満足なんだ」 「典型的な人見知りだな」 「かもね。こんな男だからさ、外見のおかげでも告白されることがなかったら誰とも付き合ってなかったし、未だに童貞だったと思うよ、お前と一緒でさ」 「え、もしかして童貞バカにしてる?」 「まさか、はっはっは……」  高松が女の子ならよかった。高松みたいな女の子がいたらずっと仲良くやっていけると思ったが、高松を好きな「好き」は恋愛の「好き」ではないから、それが異性になったところで、やっぱり恋愛には発展しないのかもしれない。人を好きになったことがないからイマイチわからないし想像もできないが、高松を好きな「好き」と恋愛の「好き」は何がどう違うのだろうか。  
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