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まどろっこしい…。
「それならそう言ってくれりゃいいのに…。」
朝から何か悲しくて謎解きしなけりゃいけないんだ。
「だって、『鼻毛出てるから、切ってから行きなさいよー』なんて、ストーレトに言ったら角が立っかなって。」
その気遣い、いる?
「いやいや。そこ別にストレートでいんじゃね?」
それに、もうストレートに言ってるし。
……って、鼻毛出てる!?
「オペするなら、洗面所の棚にハサミあるよ。」
にやにやと完全に楽しんでいる母。
「オペ言うな!」
そう言って俺は洗面所へ。
けらけらと笑っている母の声が聞こえてくる。
……年頃の息子の鼻毛なんて、普通もっと気を使って、言葉選んで、それとなく気づくように話をもってくんじゃねーか?
しかも、それをネタに現在進行形で大笑いしてる母。
デリカシーどこに落としてきた?
どこ行けば落としものの母のデリカシー、拾ってこれるんだ?
そんな事を考えながら洗面所の鏡を見ると、確かに両鼻から申し訳程度に鼻毛がこんにちわしている。
……コレを見て『両鼻腔毛髪切除術』なんて単語を思いつく母は、ある意味すごいかもしれない……
俺は鏡を見つつ鼻毛を切って、身だしなみが問題ないことを最終確認する。
洗面所を後にし、再度学校へ行こうとすると「手術成功したー?」と母の声。
絶対にやにやしてるに違いない声だ。
「成功したー。…てか、手術言うな!じゃ、行ってくる!」
一応ノリツッコミしといて、俺は家を後にし学校へと向かった。
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