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朝のそんな出来事を、放課後親友に話をすると……
「相変わらずお前のかーちゃんおもしれーな。」
くっくっく……と、肩を震わせている親友に対し、俺はひょいと肩をすくめた。
「まっ、そういう反応になるわな。」
母のおもしろネタは他にも多々ある。
食事の『ご飯よー』の合図は、無料通信アプリを使ったおにぎりスタンプの嫌がらせとも思える連打。
用事があれば、ためらいもなく浴室のドアだって開けてくる。
テストの点が悪くとも、怒るどころか『バーカバーカ』と笑いながら頭をなでつける始末。
「……おもしれーけど、そんなかーちゃん羨ましいな。」
「そうか?俺としては、もっと大人な母親がいいんだけどな。」
人として尊敬できるような……
もっとキリッとしっかりした性格だといいのにと思う。
息子の鼻毛をネタに笑っている子供のような母。
どこがいいんだろうか?
「だって、お前のかーちゃん、言わないだろ?あれしなさい、これしなさい、親の言うこと聞きなさい…って感じのこと。」
「………まぁ…。確かに…。」
考えてみたら、確かに言われたことがない。
「たぶんオレん家だったら、鼻毛の件だって、あえて鼻毛について触れられないか、『身だしなみくらいきちんとしなさい』って、上から目線で言われて、イラッてしてると思う。」
「……他の家のことわかんないけど、そんなもんなのか?」
「ああ。親の言うことが正義だかんな。正論言われてるのがわかるから、よけいにムカついて言うこと聞きたくなくなるんだよ。」
我が家なら、寝癖がついてる時は『ナイス無造作ヘアー』ってポップな感じで言われるし、歯に青のりがついていようものなら指差して笑ってくる。
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