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親友と別れ、家に帰り、まずはテレビをつける。
そして宿題を片付けながら、スマートフォンを操作してゲームをたしなむ。
宿題が片付く頃に母が仕事から帰ってきた。
「ただいまー!」
仕事帰りなのか疑ってしまうぐらい元気な母の声。
「おかえり。」
そう言って、俺はそのままスマートフォンを操作しゲームを続ける。
……親友とあんな会話をしたからだろうか?
「……母さんって、俺に『あれしろこれしろ』って言わないよな?」
ぽつりとそんなことを質問してみた。
「うーん。……そうね。言わないわね。それがどうかしたの?……ふふっ。言ってほしいなら言ってあげるわよ?用事はたくさんあるから。」
いつもの調子で楽しそうにそんな事を言う母さん。
「今日、友達と話しててさ、俺の母さん変わってるって話してたんだ。」
「そうね。母さん自分でも変わり者の自覚あるわよ。…それで?」
「友達は羨ましいって言ってたんだ。……最初はどこがって思ったんだけど…。あれしろ、これしろ、言うことを聞けみたいに言われるみたいでイラつくらしい。…で、そういや、母さんはそんなこと言わないなって思って……」
「それでさっきの質問ってわけね。」
そう言って、母はニコリと笑った。
「あなたは母さんの子供だけど、奴隷でも手下でも部下でもないでしょ?命令して言うことを聞かす必要ないじゃない。」
そんな母の言葉に、目から鱗が落ちたような感じがした。
「自分の子供だから思い通りに動くのが当たり前なんて親のエゴよ。子供であっても、ちゃんとした一人の人間なんだから。言うことを聞いてほしい時は、命令じゃなくお願いしなきゃ。ねっ。」
……これは本当に俺の母親なのか?
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